Insights

米国国債クリアリング・コスト : 中央清算(クリアード)レポ取引と非中央清算(アンクリアード)レポ取引の分析

Cost of clearing

2020~2025年に取引されたクリアード・レポとアンクリアード・レポの分析を行い、レポ取引タイプ別清算コストの主要な要因を特定します。

2025年12月

デリン・アクシット
ステート・ストリート・データ・インテリジェンス クオンティティブ・リサーチャー

マーヴィン・ロー
ステート・ストリート・マーケッツ シニア・グローバル・マクロ・ストラテジスト

ケビン・マクニール
ステート・ストリート・マーケッツ ポートフォリオ・ファイナンス責任者(担保・資金調達)

トラヴィス・ウィットモア
ステート・ストリート・アソシエイツ AI・トレーディング分析責任者

米証券取引委員会(SEC)が米国国債レポ取引の中央清算を義務付ける規制は市場構造を根本的に変革すると見込まれています。この義務化により生じるスケールメリットと新たなクリアリング・モデルの導入を通じて、クリアリング・コストは今後低下していくと考えられます。特に 市場において資金の供給主体として大きなシェアを有する MMF のようなバイサイドの投資家に対して大きな影響を与えると考えられています。本稿では、2020~2025年の MMF の月末保有データを用いて UST の「クリアリング・コスト」を推計します。ここでいうクリアリング・コストとは、非中央清算(アンクリアード)レポ金利とクリアード・レポ金利の差として定義し、回帰分析の枠組みで、その決定要因を検証しました。

ステート・ストリートの分析結果では、Fixed Income Clearing Corporation(以下「FICC」)スポンサード・レポ取引は、取引量が増加すればするほどその「クリアリング・コスト」の低減に繋がることを示唆しており、これは中央清算市場が拡大するにつれてネッティング効率の向上やスケールメリットが働くことを意味しています。一方、MMFの資産規模が大きいほど、スプレッドの拡大を招く傾向がありますが、MMFのレポ取引量が増加すると、この影響が部分的に相殺されます。担保やマクロの流動性条件(例:System Open Market Account “SOMA”によるクーポン債吸収、UST の純発行額、ディーラーのバランスシート逼迫)も、非対称的な形で「クリアリング・コスト」に影響を及ぼします。

これら分析の結果は、「クリアリング・コスト」が固定的な上乗せではなく、マクロ動向に応じて変動するスプレッドであることを示しています。USTレポの中央清算義務化によってその取引量が中央清算に移行するにつれ、スケールメリットと新たなクリアリング・モデルによりMMFのクリアリング・コストも構造的に縮小する可能性が高くなり、その結果バイサイドの資金供給者とクリアリング機関にとって、価格決定、取引所の選択、流動性管理に影響を及ぼすこととなります。

Share

Stay updated

Please send me State Street’s latest Insights.